毎年10月18日は「世界メノポーズデー(World Menopause Day)」です。
メノポーズとは、「閉経」や「更年期」をさす言葉。
平成11年に開催された第9回国際閉経学会において、21世紀の高齢化社会の到来を受け、更年期の健康に関わる情報発信をする日として定められました。
この日にちなんで、改めて更年期について考えてみましょう。
「更年期」とは、閉経をはさんだ前後5年、約10年間の時期を指します。
日本人の平均的な閉経年齢は50.5歳といわれていることから、一般的には45歳〜55歳くらいが更年期にあたります。
40代以降は、女性ホルモンの急激な減少により、特段の自覚はなくても、体の中ではさまざまな変化が起こり始めます。
更年期はまだ先という方も、まさに更年期真っ只中という方も、起こりうる事態を知っておくことで早めに対処することができるでしょう。
更年期にはさまざまな症状があらわれますが、女性ホルモンの急激な減少による症状だけでなく、自律神経の乱れからくるものも。
自律神経の乱れによる症状は、セルフケアで対処できる場合もあります。
自律神経には、アクセルのような「交感神経」と、ブレーキのような「副交感神経」があり、脳の指令によってどちらかを優位に働かせることで体の調子をコントロールしています。
朝から日中は交感神経が優位になって活動的に、夜には副交感神経が優位になって休息モードになるのが理想です。
しかし、現代人はスマホやPCなどが発するブルーライトやストレスなどの影響で交感神経が優位になるシーンが増えているようです。
交感神経が優位になるシーンが増えると、自律神経は毎日お疲れモード。
そのうえ、生理によるホルモンバランスの変化や、更年期世代のホルモンバランスによるゆらぎが、さらに自律神経を疲れさせてしまうのです。
イライラ、不安、気分の落ち込み、集中力の低下、ホットフラッシュ、ほてり、息切れ、不眠、頭痛、だるさ…。
そんな症状を感じたら、生活を見直すタイミングです。
夜中に目が覚めたりと、よく眠れなかったとしても、いつもと同じ時刻に起床し、しっかりと朝日を浴びましょう。
そして、起き抜けにコップ1杯の水を飲んでスタートを。
目から取り入れた光が脳へ、水が胃腸へ刺激を与え、交感神経のスイッチをON。朝の訪れを知らせます。
朝、交感神経をしっかり働かせることで、夜には副交感神経が優位になるリズムができるというメリットも。
朝食には睡眠の質の向上をサポートする効果が期待できるGABAやトリプトファンが多く含まれた食品を心がけてとりましょう。
GABAはトマトや玄米などに、トリプトファンは大豆製品や乳製品、バナナなどに多く含まれています。
就寝の2時間前には遅くとも入浴を済ませることも大事。
人は体の芯まで温まった後、徐々に深部体温が下がっていくにつれて副交感神経が優位になり、眠る気を感じるようになります。
入浴後は照明を少し落として、ゆったりと過ごしましょう。
ラベンダーやゼラニウムなどリラックス効果が期待できるアロマを利用するのもひとつの手。
寝つきが悪い、夜中に目覚めてしまってなかなか眠れない…。
睡眠にまつわる悩みがあるのなら、カフェインやスマホとの付き合い方を見直すことも大事です。
緑茶やコーヒーなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。
コロラド大学の研究でも、カフェインによって体内時計が遅れてしまうことが明らかになっています。
また、カフェインには利尿作用があり、夜中にお手洗いに行きたくなってしまうことも。
カフェインが含まれた食品の摂取は14時くらいまで、摂取量も控えめにするなど自分にとってベストな付き合い方を見つけましょう。
スマホやPCなどから発せられるブルーライトも睡眠に悪影響を及ぼすことに。
就寝の1時間前には最低でも使用を控えたいところです。
このほか、全身の乾燥も更年期の悩ましい症状のひとつ。
女性ホルモンが減少すると、肌や粘膜のみずみずしさが失われていきます。
粘膜のうち症状を感じやすいのは、目や口、腟です。
目や口は目薬をさす、水を飲むなど対処できるものの、腟は頻繁にケアできない部位。
乾燥をそのままにしていると、悪い菌の侵入や繁殖を許すリスクが高まり、かゆみや灼けつくような痛みなどを引き起こしてしまうこともあります。
また、菌が繁殖すると嫌なニオイが発生したり、腟炎や性交痛につながったりすることもあり、悩みが深まる可能性も。
腟はかゆくなっても掻くわけにもいかず、薬も頻繁には使えません。
だからこそ、口から取り入れる栄養の力を活用しましょう。
肌や粘膜を健やかに導く栄養素の代表格は、「ビタミンA」。
また、シーベリー(サジー)の実から抽出した果実油も、粘膜の健康に期待が寄せられています。
ビタミンAはレバーに多く含まれていますが、毎日摂るのは難しく、シーベリー(サジー)の実から抽出した果実油も同様で、サプリメントが役立ちます。
女性ホルモンの減少は誰の身にも起こることで、個人差があるとはいえ、腟トラブルも誰にでも起きること。
体の大切なパーツとして目を背けることなく、しっかりとケアしていきましょう。
更年期は人生の後半を楽しむための土台づくりの期間でもあります。
さまざまな変化を受け入れながら向き合い、心地よく過ごせる方法を身につけたいもの。
日常生活がままならないほど辛い時には婦人科のサポートにも頼りつつ、まずは身近な生活環境からバランスを整えていきましょう。