体に必要な栄養素を吸収するのも、外敵の侵入から体を守るのも「腸」。健康の要ともいえる腸の健やかさが、全身の健康と美容につながります。
ブランド発足時よりインナーケアに着目し、商品開発を行ってきたSIMPLISSEから、2023年秋に新たに腸活サプリメント「シンプリス チョーカツ アクティブ プロ」が新登場しました。
発売を記念し、ゲストにソラーチェ代官山代表/分子栄養学カウンセラーの山崎麻央さんをお迎えしてトークセッションを実施。後編では、腸内環境を整えるために今日から実践できる具体的な方法や腸研究の新しい概念「ポストバイオティクス」について語り合いました。
分子栄養学の観点からみる、内から、外からの『腸活』
山本:腸を整えるために、分子栄養学の観点からみて、今日から実践できることを具体的に教えてください。
山崎:そうですね。すぐにできる腸活は、“腸を荒らすものをとらない”ということですね。例えば、小麦、乳製品、白いお砂糖など。未奈子さんもグルテンフリーをされてかなり変化を感じられたんですよね。
山本:体重は変わらないのにお腹がペたんこになったんです。だるさが取れて、とにかくむくみにくくなったのを感じています。
山崎:どんなに良い栄養素をとっても、消化吸収を担う腸が元気でなければエネルギーを作り出せません。日本人の約7割が腸の粘膜が壊れて起こる「リーキーガット」だと言われています。
正常な腸には栄養素などの必要なものを吸収しつつ、細菌やウイルスなどの不要なものを瞬時に判断して捨てる、という高度なシステムが備わっています。それを可能にしているのがタイトジャンクション。
これは、腸の内側を覆っている細胞同士をすき間なくぴったりとつなぎ留める接着の役目をしている構造のこと。腸の中の異物が血液中に漏れ出てこないようにバリア機能を保っています。
山本:タイトジャンクションにすき間ができるのが、リーキーガットということですね。
山崎:そのとおりです。腸から異物が体内に漏れ出てしまうと、全身の炎症を引き起こし、さまざまな病気や体調不良に関わるのではないかと考えられています。リーキーガットの原因は、ストレス、食生活の乱れ、過度の飲酒などによる、腸内環境の悪化です。
山本:炎症をとるには、腸のタイトジャンクション破壊を食い止めて、バリア機能を回復させることが大切ですね。どうすればいいでしょうか?
山崎:意識的に良い油をとって、エネルギーを作り出すことです。例えば、イワシ、アジ、サンマ、サバなどの青魚に多く含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸ですね。
そして、粘膜バリアのための栄養素としては、ビタミンA、ビタミンD、グルタミン酸(アミノ酸)も大切です。タンパク質、鉄、亜鉛。あとは穀物も大事です。
山本:ダイエットのために炭水化物をとらない人が増えていますが、全くとらないのはよくないですよね。良質な炭水化物には、食物繊維のほかに水分も多く含まれているので、減らしすぎると便秘の原因にもなりますし。
山崎:炭水化物に含まれる糖質と食物繊維は善玉菌のエサにもなりますからね。
山本:良質な炭水化物というと、雑穀米や玄米、もちむぎ、押し麦もいいと思います。
山崎:食事を減らすのではなく、バランス良く栄養がとれる食事をすることが腸の調子を整えますね。
山本:反対に、添加物や加工品に含まれる保存料は、悪玉菌のエサになるから、できるだけ控えたいですよね。
あとは、「ファスティング」も腸活には有効な手段の1つ。以前SIMPLISSEのグループファスティングに参加された方で、ずっと便秘薬を飲み続けてきたお客様が、ファスティングをきっかけに改善したとお聞きしました!
山崎:ファスティングで胃腸をはじめとした内臓が消化・吸収活動をせず休まることで、老廃物や毒素を排泄する働きが強化されるので、デトックス効果が高まり、体の中の悪いものが出ていきます。
通常、私たちの腸内には100兆個にものぼる腸内細菌が棲んでいますが、ファスティングをすると、一時的に1,000万個まで減少して腸壁が赤ちゃんのような綺麗な状態になるといわれています。そこから新たに善玉菌が増えることで、大人になってからは難しいと言われる「定住菌の変化」が起きる可能性があるとも言われています。
山本:ストレスや加齢によっても悪玉菌が増えてしまうから、なんとか善玉菌を増やしたいですよね。
腸内環境を良くしていく方法にはいくつか種類があります。
山本:1つ目は、「プロバイオティクス」。有用な乳酸菌やビフィズス菌などの生きた乳酸菌をとること。届いた菌たちは腸内細菌と一緒に働き、その影響で腸内細菌の活力がアップします。
2つ目は、「プレバイオティクス」。食物繊維やオリゴ糖など、腸内の善玉菌のエサを腸内に届けること。エサによって腸内細菌は、元気になったり、増えたりします。
3つ目が、「シンバイオティクス」。プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方をバランスよく摂取することです。
山崎:さらに研究が進み、今、注目ワードになりつつあるのが4つ目、「ポストバイオティクス」です。
活力を増した腸内細菌は、腸の中で新たにさまざまな物質を生み出します。
この「新たに生み出される物質」には様々な種類があり、それが腸から体内へ吸収されることで、免疫を高めたり、脳へ信号を出して気持ちを安定させたりと全身に作用していたことが近年の研究でわかってきました。
ということは、その「腸内細菌たちによって新たに生み出される物質」を口から摂れば、腸内細菌が生み出すステップを踏むことなく、腸から直接作用して健康と美容に役立つのでは!ということから進んだ研究ですね。
山本:この「ポストバイオティクス」といわれる新しい考え方の中で、乳酸菌の死菌も、ポストバイオティクスとして体に良い働きをすることがわかってきました。
山崎:乳酸菌の死菌は、腸内細菌のエサにもなるため、もともと腸にいる腸内細菌が活力を増すことにも役立ちますし、一石二鳥ですね。
山本:そうですね。腸内細菌を元気にしながら、体に直接作用して、肌の潤いをキープしたり、花粉やハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減したりと嬉しい機能が認められている「ポストバイオティクス」は、まさに最先端の腸活ということになります。
山崎:便秘になると、多くの方が薬に頼ってしまいがちですが、それは腸内環境を良くしているのではなく、単に便をゆるくしたり、刺激を与えて促しているので気をつけたいところです。
山本:できれば、腸の状態を良くすることで自然に改善したいですよね。
山崎:薬に頼る前にサプリメントなどを利用して必要な栄養素や乳酸菌を体の中に取り入れて、自分自身の体の状態を整えて機能を高めることをおすすめします。
山本:最後に、適度な運動も腸活に繋がると聞きますが、具体的にどんな運動がおすすめですか?
山崎:踏み台昇降や縄跳びなどのリズミカルな運動は、自律神経が安定することで脳から腸内環境が安定します。
前編で、脳と腸の関係をお話しましたが、「筋脳相関」といって、最近では「筋肉」と「腸」にも相関関係があることがわかってきました。運動すると分泌されるマイオカインというホルモンが骨や血管、脳や腸といった全身の臓器に良い影響を与えると考えられています。
40種類以上あるマイオカインのうち、SPARCというものが大腸がんの前がん病変細胞を消滅させていることも判明しています。
山本:2023年現在、女性におけるがんの死因の第1位は、大腸がん。食生活と併せて適度な運動は心がけていきたいですね。
山崎:皆さん“運動”というと筋トレなど特別なスポーツと考えがちですが、日常生活で体を動かすこと=運動です。
頑張って「エクササイズしなきゃ!」と思うと、逆にストレスになって、腸にも悪い影響がありますので、無理せず、すき間時間に気持ち良くできる運動を習慣化してみてほしいですね。
山本:腸が健やかであることは、健康や美容、メンタル、筋肉にさえつながっています。
「腸活」には、食べるものに気をつけたり、良質な睡眠を心がけたり、なるべくストレスをため込まないなど、生活習慣で見直すポイントはたくさんあります。
今すぐに実践できることからぜひ始めてみましょう。
そして私たちSIMPLISSEが発信する情報やプロダクトも、忙しい毎日を送る皆さまの腸を健やかにするお手伝いができましたら嬉しいです。
開催場所:BENE-
東京都港区南青山5-8-5 THE PLAYHOUSE 3階
03-6869-0124
臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラー / ソラーチェ代官山 代表
山崎 麻央 Mao Yamazaki
加圧トレーニングやピラティス、インディバ、食カウンセリングほか、多角的に体のケアを行うプライベートスタジオ ソラーチェ代官山を主宰。スタジオで自ら指導を行うほか、セミナー講師、雑誌や書籍の監修等でも活躍。
また、化粧品、健康食品等の開発にも携わっている。講談社『#腹筋女子〜お腹が割れたら人生変わった!〜』・三笠書房「10秒痩せストレッチ〜一生太らない!気持ちよく痩せる〜」が話題。
シンプリス/シンプリス ザ バランス代表/NY州認定ビューティーセラピスト/英国ITEC国際ビューティースペシャリスト
山本 未奈子 Minako Yamamoto
NYの美容学校 L’atelier Esthetiqueを卒業後、同校で教鞭を執る。拠点を日本に移し、2009年にMNC New York Inc.を設立。「(まずは)日本で一番女性を幸せにする」をミッションに掲げ、女性の活躍をサポートするため、ウェルネスブランド「SIMPLISSE/シンプリス」のほか、フェムテック事業やファッションブランドを展開する。また美容記事の監修や講演など美容の専門家としても多方面で活躍中。著書多数。