年齢とともにシミやシワで肌の印象が変わるように、デリケートゾーンもだんだんと変化するもの。
おりもののニオイの変化や、むず痒さ・ヒリヒリ感…。
腟の不調で悩みを持っている人もいるのではないでしょうか。
腟のコンディションに変化が訪れるのは、更年期を迎えていることが原因かも。
閉経前後の約10年間、つまり40代半ば〜50代前半ごろは更年期にあたり、女性の身体はさまざまな変化を感じるようになります。
卵巣機能が弱まり、女性ホルモン(エストロゲン)分泌が急激に低下するためです。
身体の内側にある腟を自分でよく確かめることは難しく、ケアをつい後回しにしてしまうことも。
女性同士でも相談しやすい話題ではなく、人知れずコンプレックスを抱えている人は少なくないでしょう。
「きっと一時的な不調だから」と不快感に目をそむけることなく、気になる身体の症状は、ぜひ早いうちから対処していきましょう。
腟に関する不調は、更年期時期によくある腟内環境の変化が影響しています。
腟の中には、腸内のように多様な細菌が棲んでいます。
その中でも「ラクトバチルス属乳酸菌」が90%以上となるのが、腟内細菌の理想的な割合。
ラクトバチルス属乳酸菌は、腟内を酸性に保ち、雑菌が侵入・増殖するのを防ぐ役割を持っています。
この乳酸菌を増やすには、エサとなる「グリコーゲン」が必要です。
「グリコーゲン」は女性ホルモンの働きで腟の細胞内に作られるため、女性ホルモンの分泌が減少する更年期は減少傾向に。同時にラクトバチルス属乳酸菌の数も減ってしまいます。
すると腟内を酸性に保てず悪い菌が棲みつきやすくなることが。
酸性ではない環境では雑菌が増殖し、「かゆい」「臭い」「痛い」といった症状につながります。
腟内環境を悪化させないよう、普段の生活で気にかけるべきことをぜひ知っておきましょう。
とくに次の3つは、腟内にあるラクトバチルス属乳酸菌の割合を減らさないために効果的です。
■ウォシュレットのビデ機能を使いすぎない
デリケートゾーンの洗浄でビデ機能をよく使う場合、洗いすぎていないか振り返ってみましょう。
過剰に洗ったり、腟内に水が入ったりして、本来あるべきラクトバチルス属乳酸菌まで流れることがあります。
すると腟内が中性に傾き、雑菌への抵抗力が下がってしまうことも。
トイレのたびに、ビデでデリケートゾーンを念入りに洗い流すのはNG。
ビデで洗浄するのはどうしても汚れが気になるときにとどめましょう。
■デリケートゾーンの洗い方に気をつける
デリケートゾーンを洗うのに、全身用のボディソープを使っていませんか?
身体と同じボディソープでデリケートゾーンまで洗うのは、避けたほうが安心。
一般的なボディソープでは、洗浄力が強すぎることがあるためです。
必ずデリケートゾーン用のソープを選びましょう。
ナイロンタオルなどや爪でゴシゴシと洗うのもおすすめしません。
とはいえ複雑な形をしたデリケートゾーンは、清潔に保たなければ恥垢(ちこう)と呼ばれる汚れが溜まってしまいます。
たっぷりの泡でやさしく洗い、ニオイや汚れを防ぐことがポイントです。
■抗生剤(抗生物質)を乱用しない
抗生剤とは、身体に悪い菌が増えないようにしたり、殺菌したりする薬のこと。
ただし、悪い菌だけ選んで作用することはできず、ラクトバチルス属乳酸菌まで殺菌してしまいます。
以前処方された抗生剤が残っているからと、自己判断で飲むのはやめましょう。
医師の診断で「抗生剤が本当に必要だ」と判断された場合にのみ、適切に飲むことが大切です。
さて、更年期に感じる腟の不調をケアするには、腟内のラクトバチルス属乳酸菌を減らさないだけでは不十分。増やすことが大切です。
たとえばラクトバチルス属乳酸菌が含まれる、腟剤やジェルを直接挿入することで補充できます。
もっと手軽に、生きたラクトバチルス属乳酸菌を口から摂取することでも、腟に届けることが可能です。
ヨーグルトなど食べ物からも補給することはできますが、脂質や糖質までも摂取することに。
サプリメントなら必要な栄養素をピンポイントで摂取でき、余分な成分の摂取を控えられます。
さらに、粘膜の健康を助ける「ビタミンA」も一緒に摂れるサプリメントだと理想的。
粘膜の潤いをキープすることにつながり、デリケートゾーンの健康を助けられます。
ニオイなどから腟の状態が気になっても、「洗う」「塗る」といったケアに重点を置く人が多いのではないでしょうか。
その悩みがなぜ起こっているのか身体の仕組みを知ると、適切な対処ができるようになります。
ラクトバチルス属乳酸菌の割合が増えるよう、サプリメントなどの力を借り、良い腟内環境を保つことが大切です。
腟の違和感は、不快に感じながらも、そのまま放置してしまいがち。
我慢してなんとなく後ろ向きになっていたそんな日々からはもう卒業しませんか?
更年期に起こる身体の変化を知って上手に付き合い、不快感や不安が気にならないポジティブな毎日を手に入れましょう。