女性は、40代になると体の状態が大きく変化し、更年期とよばれる時期を迎えます。
「人生100年時代」と言われる昨今、更年期はちょうど折り返し地点です。カラダとココロの変化にどのように向き合い、毎日を豊かに過ごしていくのか。
40代からも美しく生きるために、大切なことは何か。2023年4月、新ブランド「SIMPLISSE THE BALANCE/シンプリス ザ バランス」の立ち上げとインナーケア製品2種の発売を記念し、内科医・皮膚科医の友利新先生をお招きして、「更年期世代のカラダとココロと美容」について、SIMPLISSE THE BALANCE/シンプリス ザ バランス代表の山本未奈子とともに、ファシリエーターとして同ブランド商品開発責任者の中村千春を交えて語り合いました。
「更年期、私はまだ」が落とし穴!?
症状を感じている更年期世代の女性は4割
中村千春(以下、中村):私たちは40代で、まさに更年期世代。そして3人の母という共通点があります。40代は、「疲れやすい」「眠気が強い」などの不調を歳のせいで仕方がないことと捉えれている人も多いのではないでしょうか。更年期世代の女性で、更年期症状を感じている人は4割というデータもあります。
山本未奈子(以下、山本):実際は、もっといらっしゃるのではないかと思います。先日、自社で更年期をテーマに交流会を開催し、30名のお客様とお話しました。皆さま口をそろえて「更年期の症状をまだ感じてない」とおっしゃっていました。
でも、その後に「最近疲れやすくて」「全然寝れてないんです」 「夜中に目が覚めちゃって」とおっしゃるのです。「まさにそれが更年期の症状なんですよ!」とお伝えしました。
友利新(以下、友利):実は私も、この仕事をしていながら大変お恥ずかしいことなのですが、未奈子さんに「更年期症状をまだ感じてないんですよね」と言ったことがあります。その後「満足に眠れていない」と話したら、未奈子さんに「それが更年期症状ですよ」と言われました。
山本:気づいてないだけで、実際にはすでに更年期症状が現れていることがあります。「私はまだ」と思ったり「不調は年齢のせい」と思わずに、向き合っていけるようにしたいですね。
更年期は45歳〜55歳
1つの期間であって、こわいものではない
中村:更年期という言葉は知っていても、理解が曖昧かも?と思うこともあります。
友利:更年期は特別なものやこわいものと思われていますが、人生の1つの“期間”なんです。更年期は閉経前後の各5年間で、計10年間続くと言われています。
日本人の平均の閉経が50歳と言われているので、45歳から55歳の時期を「更年期」と呼ぶだけであって、こわいものではありません。更年期は、小児期や思春期のように、ただ単に通り過ぎる期間のことです。
体の変化は、時期が過ぎれば落ち着きます。更年期には少しイライラする、ホットフラッシュになるなど、症状が出てきやすい時期と考えていただけたらと思います。
中村:ありがとうございます。 更年期症状に気づいていても、我慢している方もいると思います。どのようなタイミングで受診すればよいのでしょうか?
友利:例えば、思春期のニキビを「青春のシンボルだから」なんて放っておいてニキビ跡になったら、一般の治療では治せなくなります。ちょっとした症状の時に受診したら、跡が残ることも少ないです。
更年期も一緒で「なんか眠りが浅いな」「頭痛があるな」など、ちょっと症状があるなぐらいの時に気にしていただきたいです。症状が2、3日でなくなれば良いのですが、、自分の生活に支障をきたすようになったら、気になる症状を診断してくれる病院に相談しましょう。
山本:私は、46歳の時に更年期障害による“うつ症状”で数ヶ月仕事からも離れたのですが、まさか自分がうつになるなんて考えもしなかったし、心療内科はすごく敷居が高いなと思っていました。
親しい友人から「なんかおかしいよ」「病院行った方がいいよ」と言われて、「他人に伝わるくらいおかしいのか」と思い、病院に行きました。もっと早く行けばよかったと思っています。
友利:未奈子さんみたいに社会に出ていて、誰かと接してれば良いですが、専業主婦の方などは更年期症状に気づくのが遅くなることも。異変を指摘してくれる方が周りにいるかというのも、受診に関わるのではないかと思っています。
クリニックの門を叩くのは気軽ではないかもしれないですが、ちゃんと相談することが大事です。
40代からも美しく生きるために一番大事なものって何?
中村:友利先生、40代からも美しく生きるためには何が一番大切だとお考えですか。
友利:私が小さい頃は、40歳になってから何かを楽しんだり、新しく始めたりすることはないと思っていました。しかし、新しいことをしている先輩方を見て、40代は何かを始める時期としてチャレンジがしたいと思っています。
美しく生きるためには、何かを頑張るというイメージもありますが、頑張るためにしっかり休みたいと思うんですよ。相反して聞こえるかもしれませんが、人生100年としたら、40代は半分に差し掛かるくらいです。
前半は無理をしても頑張れましたが、これからはメンテナンスを欠かさないようにしながら、次のステージに上がっていきたいです。日頃のことでいうと、しっかり寝る。美しく生きるためには、もうこれが一番大事だと思っています。
中村:ありがとうございます。未奈子さんにとって、40代からも美しく生きるとはどういうことですか。
山本:「美しく生きる」の定義は、人によって違うと思います。私が考える美しさは、自分を肯定できること。「周りがどう評価するか」ではなく、自分が本当に心地よく生きていることが大切だと思っています。
そのためにも、自律神経を保つことはすごく大切で、先生がおっしゃったように睡眠が鍵だと思うんですよね。
友利:そうなんですよ、例えば子育て があったりしてなかなか時間が取れないこともあると思いますが、だからこそ 布団だったり温度だったりと“睡眠 の質”にこだりたいですね。
山本:本当にそうですよね。睡眠が肌の水分量を変えたり、肌のターンオーバーを促進したりとかにも影響しますし。
友利:しっかり寝たときとそうでないときを比較すると、翌日の顔の老け度が全然違うので。スキンケアも大事ですが、一番の美容は睡眠だと思っています。
山本:本当にその通り!大賛成です。
(後編に続く)
NY州認定ビューティーセラピスト/英国ITEC国際ビューティースペシャリスト
山本 未奈子 Minako Yamamoto
NYの美容学校 L’atelier Esthetiqueを卒業後、同校で教鞭を執る。拠点を日本に移し、2009年にMNC New York Inc.を設立。「(まずは)日本で一番女性を幸せにする」をミッションに掲げ、女性の活躍をサポートするため、ウェルネスブランド「SIMPLISSE/シンプリス」のほか、フェムテック事業やファッションブランドを展開する。また美容記事の監修や講演など美容の専門家としても多方面で活躍中。著書多数。
友利 新 Arata Tomori
東京女子医科大学卒業。
同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。
現在、都内2か所のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を展開中。
美と健康に関する著書も多数。