女性に正しいデリケートゾーンのケア方法を知ってもらいたい。その思いを胸にスキンケア&インナーケアの研究を重ねてきたSIMPLISSE。昨年からはセクシャルヘルスの分野にも進出。この秋、第2弾としてフェミニンエリア専用の美容液「センシュアル フェミニン デュオセラム」が発売しました。発売を記念し、SIMPLISSE代表の山本未奈子が、婦人科形成を専門とする「なおえビューティークリニック」院長の喜田直江先生をゲストに迎えてトークセッション! 多くの女性が抱えるセクシャルヘルスの問題について、全3回にわたりじっくり伺っていきます。
恥ずかしくて相談できない……
タブー視されがちな性の悩み
ファシリテーター(以降 –):昨年のプロジェクト「セクシャルヘルス」に続き、SIMPLISSEからフェミニンエリア専用の美容液「センシュアル フェミニンデュオセラム」が発売となりました。それを記念し、女性の悩みに真摯に向き合っているお二人に、デリケートゾーンの悩みやトラブルの解決法について、お話を伺いたいと思います。
山本・喜田:よろしくお願いいたします。
–:まず山本さんにお伺いしたいのが、SIMPLISSEがセクシャルヘルスの分野に挑戦しようと思ったきっかけは何だったのでしょう?
山本:私が12年前に美容家として活動し始めたのは、身近な肌の悩みを解決したかったからなんです。でも年齢を重ねるにつれ、自分も出産後の尿もれだとか、肌以外のセクシャルな悩みに直面するようになって。でもそういう性に関する悩みって、世の中では「恥ずかしいこと」と敬遠されがちですよね。オープンに話すどころか、ごく親しい友人や家族にさえ話すのを躊躇する現状がある。私もいろいろと相談を受けるなかで、親しくなってから「実は……」と打ち明けられることも多くて。みなさん少なからず性にコンプレックスを抱えていて、そのために自信が持てなくなっている場面もあるのでは? と気づかされたんです。
–:そもそも知識が乏しいこともあり、性に関する悩みって本当に根深いですよね。喜田先生は、産婦人科医を経て、女性器の美容形成に特化したクリニックを開業されたわけですが、日本でも珍しいこの分野を専門にされた理由は?
喜田:そうですね。私はもともと出産や婦人科系の病気の診療に関わってきましたが、婦人科では対応できない見た目の悩み、例えば女性器のヒダが大きいとか、黒ずんでいるとか、出産後に膣がゆるんでしまったとか、そういった相談を受けることが多かったんです。当時は「病気じゃないから諦めて」と言うしかなかったけれど、治療できる場所がないなら作ればいいと思って、いまのクリニックを立ち上げた感じました。
山本:人間の三大欲求って「食欲、睡眠欲、性欲」の3つですが、食や睡眠に関しては悩み別に応じた解決法がたくさんあるのに、性に関してだけは正しい情報すら探すのが難しかったりする。本来タブー視されるべきことではないのに、誰にも相談できずに一人で悩む、という悪循環を改善するには、やっぱり正しい知識やケアの方法を伝えていくことが大切だと思っています。
アンケートから見えてくる
女性たちのリアルな心の声
–:デリケートゾーンの話自体、話題にしにくいですが、喜田先生の著書でもご紹介されている、20歳~42歳の女性463名へ行なったアンケートでは、女性器について「友達と話したことがある」と回答したのは全体の7%、「パートナーと話したことがある」のは全体の6%、とかなり少ない結果が出ています。
喜田:この数字には日本の「話しちゃいけない、見ちゃいけない、触れてはいけないという文化が大きく影響していると思いますね。うちのクリニックも、相談できる場所がわからないからとりあえず婦人科を訪ねてみた、という方が多くいらっしゃいます。でも婦人科って「病気じゃないから」と一言で追い返されることも多くて、診察室でボロボロ泣きながら相談される方も。一人で悩まれている方って想像以上に多いんだなと思いますね。
山本:誰からも教わってこなかった背景もあって、自分の身体なのにちゃんと見た経験がなく、知識も曖昧な方って多いですよね。なので改めて、女性器ってどんな構造になっているのか、先生教えていただけますか?
喜田:はい。まず上の図を見ていただきたいのですが、まず真ん中に膣の入り口があり、その両側にあるヒダの部分が小陰唇。ここは皮膚と粘膜の間くらいの特別な性質を持っています。そして小陰唇の外側にあたる陰毛が生えている部分が大陰唇ですね。通称「Iライン」と呼ばれていて、ここは小陰唇と違い皮膚の部分にあたるので皮脂も意外に多くてベタベタしたり乾燥によってたるみが出やすいです。
–:「女性器のコンプレックスは何ですか?」というアンケートでは、一番多かった回答が「臭い」。そのあとに「黒ずみ」、「小陰唇のヒダが大きい、もしくは長い」と続いています。
喜田:「臭い」や「黒ずみ」はクリニックの患者さんに関わらず、一般的に多い悩みになるかと思います。ただセルフケアすることで解決できる場合が大半。だから普段からのお手入れがとても大事になってくるんですね。
トラブルはどうやって起こる?
「臭い」と「黒ずみ」の原因
–:ほとんどの「臭い」や「黒ずみ」はセルフケアで解決できるというお話が出ましたが、そもそもなぜそういったトラブルは起こるんでしょうか?
山本:デリケートゾーンはショーツに覆われているので蒸れやすく、雑菌が繁殖する3つの条件「暗い、湿っている、温かい」がすべて満たされているんですね。喜田先生が説明されていたように、大陰唇は皮脂腺が多いのもありますし、脇の下と同じように汗腺と一緒になっているので、「臭い」を発しやすいんです。昔からニオイって異性を惹きつけるフェロモンとも呼ばれますが、現代女性からするとありがたくない話ですよね。
–:「黒ずみ」は、下着によって起こる摩擦が原因とか?
山本:下着でも摩擦されますし、いま脱毛に通われている方も多いと思いますが、自己処理によるシェービングは特に黒ずみの原因になりがちです。毎回角質を落としてしまっているんですね。それで炎症が起こって黒ずんでくるわけです。あと女性はトイレに行くたびにトイレットペーパーで陰部をふきますが、その行為自体も摩擦の原因に。想像して欲しいのですが、トイレに行くたびに顔をペーパーでオフしていると思うと恐ろしくないですか? 摩擦によって炎症が起こると、メラニンを生成しなさいと信号が出てしまい、陰部にも色素沈着が起こるんですね。肌の仕組みと一緒です。
–:つまりデリケートゾーンは、「臭い」と「黒ずみ」に関しては最適な場所なんですね。
喜田:デリケートゾーンは当に特殊な部分で。常に覆われているので「臭い」や「蒸れ」が起こりやすいですし、さらに毛があると雑菌が繁殖して余計に臭いが気になるのですよね。そもそも日本人って外国人に比べて、アンダーヘアの処理しない方が圧倒的に多いのが現状です。そのことで、意図せず菌の温床になってしまっているんですよね。臭いが気になるからとゴシゴシ洗うと、その摩擦で黒ずみにつながります。衛生的でないと痒みを生じたりかぶれたりもしますが、その炎症が原因でまた臭ったり黒ずんだりたるんだり…と悪循環にもなることも珍しくないんです。
山本:もちろん個人の好みや意見は尊重したいですが、先生もおっしゃっていたように「アンダーヘアはないほうが衛生的」という事実は知っておいたほうがいいと思います。
デリケートゾーンのケアの正解は?中編 では詳しいお手入れ法にフォーカス!
NY州認定ビューティーセラピスト/ITEC国際ビューティースペシャリスト
山本未奈子(やまもと みなこ)
美容家、1975年生まれ。UCLロンドン大学を卒業後、NY州ビューティセラピスト、ワックスセラピストなど数々のライセンスを取得。NYの美容学校にて非常勤講師として務めたのち、2009年にMNC New York Inc.を設立。SIMPLISSE代表として、スキンケアの楽しさとインナーケアの大切さを伝える活動を行う。著書に『本当に知りたかった/美肌の教科書』(講談社+α文庫)ほか。 インスタグラム @minako_yamamoto
喜田 直江(きだ なおえ)
医師、1975まれ。京都府立医科大学卒業後、産婦人科にて多数の分娩&手術症例に携わり、形成外科の分野へ。大手美容整形クリニックにて美容外科&皮膚科の技術を習得。2011年に銀座に「なおえビューティークリニック」を開業。女性器の形成手術では日本でも有数の症例数を誇り、医師として活躍する傍ら、メディア出演や書籍の監修なども手がける。